新刊を楽しみにしてる漫画の一つ、重版出来!
やっと新作12巻がでました!
ドラマは終わっても、原作はまだまだ面白い。いや、むしろやっぱり原作こそ読んで欲しい作品です。
さて、あらすじ。
安井がWEB漫画誌の編集長に…!過去のトラウマから、誰よりも利益に対してシビアな安井。その安井が新たなフィールドをWebに求めた。「売れるモノしか生まれない場を作る」「自由でなければ、Web漫画誌の意味がありません」この宣言の下での作品募集に対し、届いた原稿の1作は以前、心ではなく安井を選んで潰されてしまった東江のものだった。心は今度こそ東江とヒット作を作ろうと誓うが、安井がそれを許さず…!?(引用:Amazon)
主人公・黒沢心の編集者としての成長も感じさせてくれるとともに、昨今当たりまえになったWEB漫画誌と紙漫画誌のそれぞれの立位置、強みもわかる1冊です。
出版業界の事情をよく盛り込んであり、それぞれの立場、役割をきっちり描かれており、読み応えのある内容でした。
ざっとしたあらすじは↑のとおりですが、+αをご紹介です。ネタバレがイヤな方は、お勧めしませんのであしからず。
バイブスから、新たなWEB漫画誌の創刊が決定した。
責任者は、組織の中で保守的に見える仕事をこなす、嫌みが目立つ安井。
けれど、安井はかつての漫画誌FLOWが廃刊になった悔しさ、無力感を繰り返さまいと、再び『FLOW』の名を掲げ、精力的に取り組む。
社内での反対勢力である局長に対しても、策を講じ、クリアしていく。
その姿は、11巻までのいけすかないしましまの服の安井、ではなく、実績と経験という厚みに、戦略を備えた一人の有能な編集者であった。それには、心も圧倒されるばかりであった。
WEB制作会社とともに、無事、発刊となったWEB漫画誌FLOW。
WEBならではの即時性、コメントの反映などに、漫画を掲載するベテラン漫画家たちも士気があがる。
そして、紙にはない、WEBならではの漫画の見せ方、楽しみ方、楽しませ方があることを知り、新たな可能性を実感する。
一方、FLOWにはベテラン以外からの投稿もあり、かつて、バイブスと縁のあった東江(あがりえ)の漫画が人気になっていた。
安井とのトラブルが原因で一時は筆をおいた東江であったが、学生から社会人になり仕事をしていく中で、もう一度描きたいと願い、漫画を再開した。 FLOWでは、人気が維持された場合、連載決定、担当がつくというシステムをとっており、東江は今度こそ心を担当にと希望する。しかし、有能な漫画家は、編集長自らが担当すると、安井が公言する。
売れる漫画をつくるという安井を説得すべく、東江と心は、東江らしい漫画は何か、必須に追及し、企画書を作成する。それは、安井にはない、若い世代ならではこその時代性があふれる内容であった。
そして、ついに安井も心に任せることを決意する。
自分たちの世代にはない若さはそこにはあり、自分にしかできない役割がある、安井と五百旗頭は静かに語った。
これまでは、情熱と勢いできた黒沢心が、それだけでは安井を、人を動かせられないことに気づく、そして、何をすべきかぶつかっていく。心の編集者としての、社会人としての成長がそこにはあった。
単行本の後半は、ピーヴ遷移の連載が進む中田伯の話に移る。
登場するキャラクターの動きの鈍さが、何に起因するのか。
三蔵山先生は、それは中田自身にあると、温かくも厳しい指摘をする。人として、漫画家として、そこにあるものを受け入れていくことの大切さを三蔵山は説く。
そして中田は決意し、心とともに何年も会っていない実父に会いに行く。
会ったらこんなことを言ってやろう、と思っていた中田の目に映る父は、想像を超えるものであった。
行き場のない思い、葛藤、迷い、苦しみ。
中田は初めてネームに行き詰まる。
心は編集者として、どう寄り添っていくか…
!
〈13巻に続く〉